中国人妻のナナが作る中国四大料理の四川風麻婆豆腐


6月10日、ナナのお休みの日。
私たちの小さなキッチンに、四川料理特有の花椒の香りが立ち込めています。
「久しぶりに、ナナの麻婆豆腐が食べたい」という私のリクエストに、ナナが本格的な中国四大料理の一つ、四川風麻婆豆腐を作ってくれることになりました。
豆豉(とうち)という秘密の調味料





今日は本場の味を作るから、豆豉を使うわ。これがないと四川麻婆豆腐じゃないの。
ナナが取り出したのは、黒い小さな豆が詰まった瓶。
豆豉(とうち)は、黒豆を発酵させた中国伝統の調味料で、日本ではなかなか手に入らない貴重な食材です。



それ、いつ買ったの?



先月、横浜中華街で見つけたの。やっぱり本物の味を作りたいから。
中国人女性の料理へのこだわりは、単なる味の問題ではありません。
それは故郷の記憶であり、文化の継承でもあるのです。
調味料 | 中国での使用頻度 | 日本での入手難易度 |
---|---|---|
豆豉(とうち) | 四川料理では必須 | 中華街でのみ入手可能 |
郫県豆板醤 | 麻婆豆腐の基本 | 一般的なスーパーでも購入可 |
花椒 | 痺れる辛さの要 | スパイス専門店で入手 |
手際よく進む料理の準備


ナナの料理の特徴は、その段取りの良さです。
まずは豆腐を一口大に切り、軽く塩茹でしてから水を切ります。



豆腐の下処理は絶対に手を抜いちゃダメ。崩れにくくなるし、味の染み込みも違うのよ。
続いてネギ、生姜、ニンニクをみじん切りに。
中国料理の基本は「食材の準備が8割」という言葉通り、ナナは調理に入る前にすべての材料を揃えます。



豆豉ってどんな味なの?



うーん、日本の味噌に近いけど、もっと深くて濃厚。塩辛さと旨味が凝縮されてるの。
実際に豆豉をひとつまみ味見させてもらうと、確かに日本では味わえない複雑な発酵の旨味が口に広がりました。
四川麻婆豆腐の真髄


いよいよ調理開始。
フライパンに油を熱し、まずは豆豉を炒めて香りを立たせます。



ここが一番大事。豆豉の香りが立ったら、すぐに郫県豆板醤を加えるのよ。
続いて挽肉を加え、パラパラになるまで炒めます。
この時のナナの手際は見事なもので、中華鍋を振る音とジューという音が心地よいリズムを奏でます。
- 豆豉を油で炒めて香りを出す
- 郫県豆板醤で辛味と色を加える
- 挽肉をパラパラになるまで炒める
- 鶏ガラスープで煮込む
- 豆腐を加えて味を染み込ませる



花椒はいつ入れるの?



最後よ。花椒は火を通し過ぎると香りが飛んじゃうから。
同時進行のトマト炒め


麻婆豆腐が煮込まれている間に、ナナはもう一つのフライパンでトマトと卵の炒め物の準備を始めました。



中国では番茄炒蛋(ファンチエチャオダン)っていうの。家庭料理の定番よ。
卵をふわふわに炒めてから一度取り出し、トマトを炒めて甘酸っぱいソースを作ります。
最後に卵を戻して軽く混ぜ合わせる、この手順も中国料理の基本です。



2つ同時に作るなんて、すごいね。



中国人女性はみんなこれくらいできるわよ(笑)。効率を考えるのが当たり前なの。
完成した本場の味


ついに完成した四川麻婆豆腐とトマト炒め。
白いご飯と一緒にテーブルに並べると、食卓が一気に華やかになりました。



さあ、熱いうちに食べて。花椒の痺れる感じを楽しんで。
一口食べると、豆豉の深い旨味と郫県豆板醤の辛さ、そして花椒の爽やかな痺れが口の中で踊ります。
日本で食べる麻婆豆腐とは明らかに違う、本場四川の複雑で奥深い味わいでした。



これは確かに本物の味だね。豆豉の効果がすごい。
お互いを労わり合う日常


食事をしながら、ナナと今週の疲れについて話しました。



あなたも忙しそうだったから、今日は私が頑張ったわ。
確かにこの一週間、私は仕事に追われていました。
そんな私を見て、ナナが自分の休日を使って本格的な料理を作ってくれたのです。



ありがとう。来週は僕が何か作るよ。
中国人女性の特徴として、感情表現が豊かで、相手への思いやりを行動で示すことが挙げられます。
ナナもまさにその通りで、言葉よりも料理という形で愛情を表現してくれました。
- 相手の疲れを察して行動に移す実践力
- 本格的な料理で故郷の味を共有する文化継承
- 効率的な段取りで複数料理を同時進行する技術



中国では「情理並重」って言葉があるの。感情も理性も大切にするという意味よ。
ナナのこの言葉に、私たちの結婚生活の本質が表れていました。
お互いに忙しい毎日の中で、どちらかが疲れている時は相手が支える。
それは決して一方的な犠牲ではなく、互いを労わり合う自然な流れなのです。
豆豉の深い味わいのように、私たちの関係も時間をかけて熟成された、複雑で豊かなものになってきました。
次の休日には、今度は私がナナの好きな料理を作って、この愛情のキャッチボールを続けていこうと思います。