【日本での国際結婚の手続き】必要書類や婚姻届の書き方をご紹介

日本での国際結婚の手続きは、ズバリ言うと「必要書類の準備」と「婚姻届の正確な記入」が成功の鍵です。手続きは複雑に見えますが、正しい順序で進めれば確実に完了できます。
私は国際結婚専門の行政書士として、これまで100組近くのカップルをサポートしてきました。外国人パートナーとの結婚を考えている方々から「手続きが複雑で何から始めればいいかわからない」という相談を数多く受けています。
確かに日本人同士の結婚に比べて必要書類は多く、時間もかかります。しかし、正しい知識と準備があれば、スムーズに手続きを完了させることができるのです。
今回は実際の経験をもとに、国際結婚の手続きで必要な書類から婚姻届の書き方まで、わかりやすく解説します。手続きでつまずくことなく、幸せな結婚生活をスタートさせましょう。
国際結婚の手続きで最初に知っておくべき基礎知識
国際結婚の手続きを始める前に、必ず知っておくべき基礎知識があります。
まず理解していただきたいのは、国際結婚には「日本で先に手続きする方法」と「海外で先に手続きする方法」の2つのパターンがあることです。どちらを選ぶかで必要書類や手続きの流れが変わります。
また、パートナーの国籍によって準備する書類が大きく異なります。韓国や中国のように婚姻要件具備証明書を発行する国もあれば、発行しない国もあるのです。
手続きの基本的な流れは以下の通りです。
- 婚姻届の入手 – 市区町村役場の戸籍窓口または公式サイトから取得
- 必要書類の準備 – 日本人と外国人それぞれの書類を揃える
- 婚姻届の記入 – 正確な情報で12項目を記載
- 役所への提出 – 書類一式を戸籍課に提出し受理を待つ
手続きにかかる期間は最短で1週間、長い場合は3ヶ月程度かかることもあります。時間に余裕を持って準備を始めることが重要でしょう。



私はこれまで多くの国際結婚手続きをサポートしてきましたが、準備不足で手続きが長期化するケースを数多く見てきました。特に書類の有効期限切れで最初からやり直しになる方が後を絶ちません。必ず事前準備を徹底してください。
婚姻届の記入方法【12項目を詳しく解説】


婚姻届は12の項目を正確に記入する必要があります。国際結婚ならではの注意点も含めて、項目ごとに詳しく解説していきます。
1. 届出年月日・届出先
婚姻届を提出する日付と提出先の役所名を記入します。市役所に提出する場合は「○○市長 殿」と書きましょう。
戸籍窓口で婚姻届を入手する際、提出先が印字されていることが多いです。右上の欄は役所側で使用するため、空欄のままで構いません。
2. 氏名・生年月日
日本人配偶者の氏名は戸籍に記載されている漢字を使用します。外国人配偶者の氏名はカタカナで記入し、名字(Family name)から名前(First name)の順に書くのがルールです。
生年月日は日本人側が元号、外国人側が西暦を使用します。ミドルネームがある場合は、名の欄にFirst nameからMiddle nameの順で記入してください。
3. 住所・世帯主の氏名
外国人配偶者が海外在住の場合は国名のみで問題ありません。日本国内に住所がある場合は詳細な住所を記載し、番地と番のどちらかを丸で囲みます。
世帯主がわからない方は住民票を取得して確認しましょう。
4. 本籍・筆頭者・父母の氏名・続き柄
日本人配偶者は結婚前の本籍地と筆頭者を記載します。外国人配偶者は国籍のある国を記入してください。
続き柄は漢数字を使用し、「次男・次女」ではなく「二男・二女」と書きます。外国人配偶者の父母の氏名はカタカナで、Family nameからFirst nameの順に記載しましょう。
5. 婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍
新しい戸籍の本籍地を決めて記入します。本籍地は全国どこにでも設置できますが、正確な地番を確認する必要があります。
皇居や大阪城といった著名な場所も本籍地にできますが、手続きの際に不便になる場合があることも覚えておきましょう。
6. 同居を始めたとき
同居開始年月または結婚披露宴を挙行した年月を元号で記入します。まだ同居や結婚式をしていない場合は空欄で構いません。
7. 初婚・再婚の別
初婚か再婚かを選択します。再婚の場合は離別または死別の年月日を元号で記入してください。複数回の婚姻解消歴がある方は、直近の情報のみ記載すれば十分です。
8. 同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の主な仕事
夫妻それぞれの世帯の主な仕事を選択します。実家住まいの方は生計維持者の仕事を記載しましょう。正確な記載を求められるわけではないため、おおまかに記載すれば十分です。
9. 夫妻の職業
国勢調査の対象期間でない場合は空欄で構いません。次回の国勢調査は2025年4月から2026年3月の予定です。
10. その他
日本方式で先に婚姻する場合は空欄で問題ありません。海外で先に婚姻していた場合は、婚姻の年月日と婚姻が成立した国を記載してください。
11. 届出人の署名押印
外国人配偶者はアルファベットで署名し、捺印は不要です。日本人配偶者は実印以外でも構いませんが、シャチハタは使用できません。
外国人配偶者が署名する際は、筆記体などを避けることをおすすめします。役所で確認が困難な場合、無効とされる恐れがあるからです。
12. 証人欄・日中の連絡先
2名の証人が必要です。日本国籍の証人は元号、外国籍の証人は西暦で記入します。外国人証人の場合は押印不要です。
連絡先は必ず記入してください。書類に不備があった場合、記入した連絡先に確認の電話が入ります。



婚姻届の記入ミスで受理が遅れるケースが非常に多いです。特に外国人配偶者の氏名の表記や生年月日の書き方で間違いが発生しやすいので、提出前に必ず戸籍課で確認することをおすすめします。
国際結婚で必要な書類一覧
国際結婚では日本人と外国人それぞれが異なる書類を準備する必要があります。
日本人配偶者の必要書類
- 戸籍謄本(全部事項証明) – 本籍地以外に婚姻届を提出する場合に必要
- 婚姻届書 – 市区町村役場の戸籍窓口または公式サイトから入手
外国人配偶者の必要書類
- 婚姻要件具備証明書 – 独身で婚姻に支障がないことを証明する書類
- 国籍証明書 – パスポートで代用可能
- 出生証明書 – 父母の氏名確認などに使用
- 上記書類の日本語訳 – 翻訳者の住所・氏名を記載
韓国など一部の国では婚姻要件具備証明書が発行されません。その場合は宣誓書や申述書、法文の写しなどを代用書類として準備する必要があります。
婚姻要件具備証明書とは
婚姻要件具備証明書は、外国人配偶者が独身で母国の法律上結婚に問題がないことを証明する重要な書類です。
発行には外国人配偶者の国の在日大使館や領事館での手続きが必要になります。必要書類は国によって大きく異なるため、事前に確認することが重要でしょう。
パスポートのみで発行できる国もあれば、本国での出生証明書や独身証明書が必要な国もあります。時間がかかることが多いので、余裕を持って準備を始めてください。



婚姻要件具備証明書の取得で最も注意すべきは偽造書類です。安易な業者に依頼せず、必ず正規の大使館・領事館で手続きを行ってください。偽造書類を使用すると刑事罰の対象になります。
国際結婚手続きの具体的な流れ
国際結婚の手続きは複雑ですが、正しい手順を踏めば確実に完了できます。具体的な流れを段階別に解説していきましょう。
必要書類の取得
まず最寄りの役場に行き、戸籍謄本や婚姻届を入手します。外国人配偶者の出身国を戸籍担当者に伝え、必要書類を確認してもらいましょう。
次に外国人配偶者の母国の在日大使館や領事館に問い合わせ、婚姻要件具備証明書の発行に必要な準備について確認します。2人で行く必要があるか、本人だけでよいかも事前に確認しておくことをおすすめします。
役場での手続き
必要書類が揃ったら最寄りの役場で手続きを行います。書類に不備がなく婚姻届が受理されたら、婚姻届受理証明書の発行を申請しましょう。
婚姻届受理証明書は2人が夫婦になったことを法的に証明する書類です。婚姻届を提出した役場でのみ発行してもらえます。
在日大使館・領事館への届出
婚姻受理証明書と関連書類を外国人配偶者の母国の在日大使館または領事館に提出します。必要書類は国ごとに異なるため、提出前に再度確認してください。
配偶者ビザの取得
日本で結婚生活を送るためには、外国人配偶者が配偶者ビザを取得する必要があります。
既に在留資格を持っている場合は「在留資格変更許可申請」、持っていない場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
- 在留資格変更許可申請 – 既に在留資格を持っている場合(数週間から1ヶ月程度)
- 在留資格認定証明書交付申請 – 在留資格を持っていない場合(2〜3ヶ月程度)
手続きにかかる費用と時間


国際結婚の手続きには時間と費用の両面で準備が必要です。
費用について
婚姻届の提出や配偶者ビザの申請自体には費用はかかりません。配偶者ビザへの変更が許可された場合のみ、収入印紙4,000円を納付します。
実際にかかる費用は以下の通りです。
- 交通費 – 役所や大使館への移動費用
- 公文書取得費 – 戸籍謄本や各種証明書の発行手数料
- 行政書士依頼費 – 配偶者ビザ申請を依頼する場合(約10万円)
時間について
手続きにかかる時間は外国人配偶者のビザの種類によって異なります。
中長期ビザを持っている場合、婚姻要件具備証明書を発行してもらいやすく、婚姻届もスムーズに受理される可能性が高いでしょう。
短期ビザや海外在住の場合、婚姻要件具備証明書の入手が困難で、役所での照会に1〜3ヶ月かかることもあります。



配偶者ビザ申請を行政書士に依頼する場合の費用相場は10万円程度ですが、申請が複雑なケースでは15万円以上かかることもあります。費用だけでなく、実績や専門性も考慮して選択することが大切です。
国際結婚手続きの注意点
国際結婚の手続きを成功させるために、必ず注意すべきポイントがあります。
パートナーの国によって必要書類が異なる
最も重要な注意点は、パートナーの国籍によって必要書類が大きく異なることです。
婚姻要件具備証明書が発行されない国の場合、宣誓書や申述書などの代替書類が必要になります。外国語で作成された書類には必ず日本語訳を添付してください。
国籍変更には別途手続きが必要
国際結婚をしても外国人配偶者の国籍は自動的に日本国籍に変わりません。日本国籍を取得したい場合は帰化申請が必要です。
帰化申請は一定の条件を満たし、大量の書類を準備する必要があります。多くの方が行政書士に依頼してサポートを受けています。
書類には有効期限がある
国際結婚の手続きで使用する書類の多くには有効期限が設定されています。
- 日本の書類 – おおむね3ヶ月以内
- 海外の書類 – おおむね6ヶ月以内
せっかく入手した書類も期限を過ぎると無効になってしまいます。それぞれの有効期限を意識しながら、取得と提出の計画を立てることが重要です。
時間に余裕を持った計画が重要
国際結婚の手続きは日本人同士の結婚よりも時間がかかります。日本と外国人配偶者の母国、両方での書類集めや手続きが必要だからです。
急いで手続きを進めようとすると書類の不備や期限切れが発生しやすくなります。お互いに状況を理解し、余裕を持った計画を立てましょう。



国際結婚の手続きを「簡単にできる」と謳う悪質な業者には十分注意してください。法外な費用を請求したり、違法な方法を提案したりするケースがあります。必ず正規の手続きを踏むことが重要です。
日本での国際結婚の手続き。必要書類や婚姻届の書き方のまとめ


日本での国際結婚手続きは、正しい知識と準備があれば必ず成功できます。
確かに日本人同士の結婚に比べて必要書類は多く、時間もかかります。しかし、100組近くのカップルを見てきた経験から言えることは、しっかりと準備をしたカップルは皆さん無事に手続きを完了させているということです。
最も重要なのは「パートナーの国籍に応じた適切な書類準備」と「婚姻届の正確な記入」です。不明な点があれば役所や大使館に事前確認することを恐れないでください。
手続きは複雑に見えますが、一つずつ着実に進めれば必ずゴールに辿り着けます。外国人パートナーとの幸せな結婚生活に向けて、自信を持って手続きを進めていきましょう。
もし手続きが不安な場合は、専門家である行政書士に相談することも一つの選択肢です。適切なサポートを受けながら、確実に国際結婚の手続きを完了させてください。



国際結婚は人生の重要な決断です。手続きの複雑さに惑わされることなく、お二人の幸せな未来のために確実に進めていただきたいと思います。困った時は遠慮なく専門家に相談してください。