【国際結婚の夫婦別姓】メリットとデメリットを解説

国際結婚の夫婦別姓は、ズバリ言うと「自由度が高く、選択肢が豊富」です。日本人同士の結婚では夫婦同姓が原則ですが、国際結婚なら夫婦別姓も夫婦同姓も自由に選べます。
私は国際結婚専門の行政書士として、数多くの国際結婚カップルをサポートしてきました。その経験から、夫婦別姓のメリットとデメリットを率直にお伝えします。
「国際結婚で姓はどうなるの?」「夫婦別姓と夫婦同姓、どちらがいいの?」そんな疑問を持つ方に向けて、実務経験をもとに、わかりやすく解説いたします。
国際結婚の夫婦別姓とは何か
国際結婚では、基本的に夫婦別姓となります。外国人配偶者には戸籍が作られないためです。
日本人配偶者は単独戸籍となり、戸籍の身分事項欄に外国人配偶者との婚姻事実が記載されます。姓を変更したい場合は、婚姻から6か月以内に届出が必要でしょう。
戸籍への記載例は以下の通りです。
- 婚姻日 – 令和◯年◯月◯日
- 配偶者氏名 – ナナ
- 配偶者の国籍 – 中国
- 婚姻の方式 – 中国の方式
姓を変更した場合は、氏変更日と氏変更の事由も戸籍に記載されます。



国際結婚の手続きは複雑で、最初は戸籍のことがよく分からず不安でした。でも実際に手続きを進めてみると、思っていたより簡単だったんです。分からないことがあれば、市区町村の窓口で丁寧に教えてもらえるので安心してくださいね。
国際結婚の夫婦別姓のメリットとデメリット
国際結婚で夫婦別姓を選ぶメリット
夫婦別姓を選択することで得られるメリットは数多くあります。特に女性にとって大きな利点があるでしょう。
キャリアの継続性が保たれる
職場での名前変更手続きが一切不要です。名刺、銀行口座、資格証明書など、すべてそのまま使用できます。
特に医師や弁護士などの専門職では、姓の変更により患者や依頼者に混乱を与える可能性があります。夫婦別姓なら、そのような心配はありません。
アイデンティティを維持できる
生まれてから使い続けてきた姓は、その人のアイデンティティの一部です。夫婦別姓により、自分らしさを保ち続けることができるでしょう。
家族や友人からも、結婚前と同じ名前で呼ばれ続けます。人間関係における連続性が保たれるのです。
手続きの負担が軽減される
姓の変更に伴う膨大な手続きが不要になります。具体的には以下のような手続きです。
- 銀行口座の名義変更 – 複数の銀行での手続きが不要
- クレジットカードの変更 – カード会社への連絡や再発行手続きが不要
- 各種契約の名義変更 – 保険、携帯電話、公共料金などの変更が不要
- 職場での手続き – 人事部への届出や社内システムの変更が不要
時間的にも精神的にも、大幅な負担軽減となります。



私の場合、妻は中国で教師をしていたので、夫婦別姓で本当に助かりました。中国の教師資格や職歴をそのまま活かせて、日本でも中国語教師として働いています。姓を変えていたら、資格の証明が複雑になっていたかもしれませんね。
国際結婚で夫婦別姓を選ぶデメリット
一方で、夫婦別姓にはデメリットも存在します。特に子供に関する問題は深刻でしょう。
夫婦の一体感が薄れる可能性
同じ姓を名乗らないことで、夫婦としての一体感を感じにくくなる場合があります。
特に伝統的な価値観を重視する方や、周囲の目を気にする方にとっては、精神的な負担となることもあるでしょう。結婚したという実感が湧きにくいという声も聞かれます。
子供の姓で悩むことになる
子供の姓をどうするかは、夫婦別姓における最大の課題です。以下のような選択肢があります。
- 日本人親と同じ姓 – 最も一般的な選択だが、外国人親との姓が異なる
- 外国人親と同じ姓 – 子供が単独戸籍となり、複数子供がいる場合は人数分の戸籍が必要
- 複合姓 – 両親の姓を組み合わせるが、文字数が長くなる可能性
どの選択をしても、何らかの課題が残るのが現実です。



子供の姓については、私たちも最初とても悩みました。最終的に日本人である私の姓にしましたが、妻の中国の家族からは少し寂しがられました。でも家族みんなで話し合って、お互いの文化を大切にしていくことで理解してもらえたんです。
社会的な理解不足による困惑
日本社会では夫婦同姓が一般的なため、夫婦別姓に対する理解が不足している場面があります。学校や病院などで説明が必要になることもあるでしょう。
子供の学校行事では「なぜお母さんとお父さんの姓が違うの?」と質問されることもあります。事前の心構えが必要です。
国際結婚で夫婦同姓にする3つの方法
夫婦別姓がデメリットと感じる場合は、夫婦同姓にする方法もあります。主に3つの方法で夫婦同姓を実現できます。
日本人配偶者の姓変更
戸籍法第107条2項により、婚姻から6か月以内なら家庭裁判所の許可なしで姓を変更できます。手続きは市区町村役所への届出のみです。
6か月を過ぎた場合は、日常生活に支障をきたす事情が必要となるため、早めの手続きをおすすめします。
複合姓も選択可能で、例えば「鈴木ハンクス花子」や「ハンクス鈴木花子」のようにできます。使用可能な文字は以下の通りです。
- ひらがな – すべてのひらがな文字が使用可能
- カタカナ – すべてのカタカナ文字が使用可能
- 漢字 – 常用漢字と人名用漢字表に記載された文字のみ
アルファベットやハングル文字は使用できません。



複合姓を選ぶ方もいらっしゃいますが、文字数が長くなると日常生活で少し不便に感じることもあるかもしれません。でも、両方の家族の名前を大切にしたいという気持ちはとても素晴らしいと思います。どの選択肢も正解なので、ご夫婦でよく話し合ってくださいね。
外国人配偶者の通称名登録
通称名は法的拘束力のあるペンネームのようなものです。一度決めると基本的に変更できないため、慎重な検討が必要でしょう。
手続きは通称名記載申出書を市区町村住民窓口に提出します。運転免許証は運転免許センターでの手続きとなります。
外国人配偶者の帰化
帰化により日本国籍を取得すれば、日本人配偶者と同じ姓にできます。名前も自由に変更可能です。
ただし、帰化申請から許可まで数か月から1年程度かかります。すぐに夫婦同姓にはなりません。
日本人配偶者の帰化要件は以下のように緩和されています。
- 居住要件の緩和パターン1 – 結婚前に3年以上日本に居住し、その後結婚した場合
- 居住要件の緩和パターン2 – 婚姻から3年経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する場合
海外での婚姻生活を経て日本に帰国した場合でも、要件を満たす可能性があります。
国際結婚の夫婦別姓。メリットとデメリットのまとめ


国際結婚では夫婦別姓も夫婦同姓も自由に選択できます。どちらを選ぶかは、夫婦の価値観や生活スタイルによって決まるでしょう。
夫婦別姓のメリットは、キャリアの継続性、アイデンティティの維持、手続き負担の軽減です。一方、デメリットは夫婦の一体感の希薄化、子供の姓の問題、社会的理解不足による困惑があります。
夫婦同姓を希望する場合は、日本人配偶者の姓変更、外国人配偶者の通称名登録、帰化という3つの方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、慎重な検討が必要です。
最も重要なのは、夫婦でしっかりと話し合い、お互いが納得できる選択をすることでしょう。姓の問題は結婚生活の根幹に関わる大切な決定です。
国際結婚における姓の選択で悩んでいる方は、専門家に相談することをおすすめします。法的な手続きや注意点について、詳しいアドバイスを受けることができるからです。



私も国際結婚を経験して、最初は分からないことばかりでした。でも一つずつ丁寧に手続きを進めていけば、必ず解決できます。大切なのは、お互いを思いやる気持ちと、困った時は専門家に相談する勇気だと思います。皆さんの幸せな結婚生活を心から応援しています。