【国際結婚後のパスポート】氏名や本籍の変更手続きはどうなるの?

国際結婚後のパスポート変更手続きは、ズバリ言うと「氏名や本籍の変更があれば必須」です。結婚して氏名や本籍が変わった場合、パスポートの記載事項変更手続きを行わなければなりません。手続きを怠ると、海外旅行時に搭乗拒否される可能性もあります。
こんにちは、国際結婚アドバイザーの松村と申します。これまで多くの国際結婚カップルのサポートをしてきました。
国際結婚を控えた皆さんから「パスポートの手続きはどうすればいいの?」という質問を数多くいただきます。実際、手続きのタイミングを間違えて新婚旅行に行けなくなったカップルも見てきました。
今回は、国際結婚後のパスポート変更手続きについて、必要な手順から注意点まで、すべてを分かりやすくお伝えします。
国際結婚後のパスポート変更手続きの基本


パスポートは海外での身分証明書として絶対に必要な書類です。氏名や本籍に変更があった場合、速やかに手続きを行う必要があります。
実は、パスポートの変更手続きは法律で義務付けられています。旅券法第10条では「記載事項に変更があった場合は遅滞なく手続きを行う」と定められているのです。
変更手続きを怠ると、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 搭乗拒否 – 航空券とパスポートの氏名が一致せず、飛行機に乗れない
- 入国審査でのトラブル – 現地で身元確認に時間がかかる
- 緊急時の対応遅れ – 事故や病気の際、身元特定が困難になる
新婚旅行を台無しにしないためにも、正しい手続きを理解しておくことが重要でしょう。



実際に私がサポートしたカップルで、手続きを後回しにして搭乗当日に空港で慌てたケースがありました。パスポートの手続きは思っているより時間がかかるので、早めの準備を心がけてくださいね。
パスポート変更が必要な場合・不要な場合
結婚で氏名や本籍が変わっても、すべてのケースで変更手続きが必要というわけではありません。状況によって手続きの必要性が変わります。
氏名変更の場合
氏名変更について、具体的な基準をお伝えします。
- 手続き不要 – 漢字は変わったが、ローマ字表記が同じ場合(例:安倍→阿部、大野→小野)
- 手続き必要 – ローマ字表記が変わる場合(例:田中→佐藤、山田→鈴木)
本籍変更の場合
本籍変更についても、明確な基準があります。
- 手続き不要 – 同じ都道府県内での本籍変更
- 手続き必要 – 都道府県をまたぐ本籍変更
なお、住所変更については手続きは不要です。2020年以前に発行されたパスポートには「所持人記入欄」があり、住所変更時は手書きで修正できました。現在発行されるパスポートには記入欄がありません。
旧姓併記と配偶者姓追記について
パスポートには、旧姓や配偶者の姓を併記することも可能です。特に国際結婚では、配偶者の姓を追記するケースが多く見られます。
実際の例として、私がサポートしたカップルの事例でご説明しましょう。
旧姓併記のメリット
旧姓併記には以下のようなメリットがあります。
- 職場での継続性 – 仕事で旧姓を使い続ける場合に便利
- 海外での説明 – 入国審査で旧姓について説明を求められた際に対応しやすい
- 各種手続き – 銀行口座やクレジットカードの名義変更が段階的に行える
旧姓併記の表記例は以下の通りです。
記載例:チョウ・ナナが松村姓になった場合
姓/Surname(旧姓/Former surname)
MATSUMURA(CHOU)



中国人女性のナナが日本姓になる場合、職場では旧姓のチョウで呼ばれ続けることも多いんです。旧姓併記があると、海外出張の際に同僚の方が理解しやすくなりますね。
配偶者姓追記のメリット
国際結婚の場合、配偶者の姓を別姓として追記できます。外国人配偶者の国で生活する際に便利でしょう。
記載例:チョウ・ナナが中国姓を維持し、配偶者の松村姓を追記する場合
姓/Surname(別姓/Alternative surname)
CHOU(MATSUMURA)
この方法なら、中国でも日本でも夫婦であることが証明しやすくなります。特に中国の親族や友人には「チョウ・ナナ」として、日本では「松村・ナナ」として使い分けることが可能です。



国際結婚では両方の文化を大切にしたいと考える方が多いです。配偶者姓追記なら、どちらの国でも夫婦関係を証明しやすく、とても実用的な選択肢だと思います。
旧姓併記と配偶者姓追記について
パスポートには、旧姓や配偶者の姓を併記することも可能です。特に国際結婚では、配偶者の姓を追記するケースが多く見られます。
旧姓併記のメリット
旧姓併記には以下のようなメリットがあります。
- 職場での継続性 – 仕事で旧姓を使い続ける場合に便利
- 海外での説明 – 入国審査で旧姓について説明を求められた際に対応しやすい
- 各種手続き – 銀行口座やクレジットカードの名義変更が段階的に行える
旧姓併記の表記例は以下の通りです。
記載例:新姓が鈴木、旧姓が田中の場合
姓/Surname(旧姓/Former surname)
SUZUKI(TANAKA)
配偶者姓追記のメリット
国際結婚の場合、配偶者の姓を別姓として追記できます。外国人配偶者の国で生活する際に便利でしょう。
記載例:自分の姓が田中、配偶者の姓がSMITHの場合
姓/Surname(別姓/Alternative surname)
TANAKA(SMITH)
パスポート申請方法と手数料
パスポートの記載事項変更には、2つの申請方法があります。どちらを選ぶかで手数料が大きく変わります。
申請方法の選択肢
- 新規申請(5年または10年有効) – 新しい有効期間でパスポートを発行
- 残存有効期間同一申請 – 現在のパスポートと同じ有効期限でパスポートを発行
手数料一覧表
2025年3月24日からオンライン申請と窓口申請で手数料が異なります。以下が詳細な料金表です。
- 10年有効パスポート – オンライン申請15,000円、窓口申請16,000円
- 5年有効パスポート – オンライン申請10,000円、窓口申請11,000円
- 残存有効期間同一 – オンライン申請5,500円、窓口申請6,000円
パスポートを取得したばかりの方や、しばらく海外に行く予定がない方は、残存有効期間同一申請がお得でしょう。



手数料の差は意外と大きいんです。特に新婚さんは出費が多い時期なので、1000円でも節約できるオンライン申請をお勧めします。操作も思っているより簡単ですよ。
申請のタイミングはいつがベスト?
申請タイミングは新婚旅行の予定によって大きく変わります。間違ったタイミングで手続きすると、せっかくの新婚旅行が台無しになってしまいます。
出発まで2カ月未満の場合
結婚から新婚旅行まで2カ月未満の場合、旧姓のパスポートで旅行することをお勧めします。
理由は以下の通りです。
- 戸籍謄本の準備期間 – 婚姻届提出から新戸籍完成まで1~2週間必要
- パスポート発行期間 – 申請から受領まで2~3週間必要
- 緊急時のリスク – 手続きが間に合わない可能性がある
旧姓で旅行する場合は、航空券も旧姓で予約し、クレジットカードの名義変更も帰国後に行いましょう。



旧姓での旅行は意外と多いんです。大切なのは航空券、パスポート、クレジットカードの名義をすべて揃えることです。一つでも違うと現地で困ることがあるので、しっかりチェックしてくださいね。
出発まで2カ月以上の場合
出発まで2カ月以上余裕がある場合は、新姓でのパスポート取得をお勧めします。
手続きの流れは以下の通りです。
- 婚姻届提出 – まずは婚姻届を提出する
- 戸籍謄本取得 – 新しい戸籍ができたら戸籍謄本を取得
- パスポート申請 – 速やかに記載事項変更を申請
- 航空券予約 – 新姓でパスポートを取得後、航空券を予約
ただし、旅行予約でパスポート番号の登録が必要な場合は、パスポート受領後に登録となるため、スケジュールに注意が必要です。
海外挙式の場合の注意点


海外挙式を予定している方は、挙式のスタイルによってパスポート手続きのタイミングが異なります。間違えると挙式ができない場合もあるため注意が必要です。
ブレッシングウエディングの場合
すでに結婚している二人が神様の祝福を受ける挙式スタイルです。
- 事前の婚姻届提出が必須 – 渡航前に日本で婚姻届を提出する
- 新姓パスポートが必要 – 夫婦同じ姓でのパスポートが求められる
- 2カ月前には手続き完了 – 余裕を持った手続きが重要
リーガルウエディングの場合
現地の法律に従って婚姻を認める結婚式を行うスタイルです。



リーガルウエディングを選ぶカップルは、挙式のタイミングとパスポートの手続きを混同しやすいんです。現地で正式に結婚するので、行きは必ず独身時の姓で行ってくださいね。間違えると挙式自体ができなくなります。
- 独身であることが条件 – 渡航時点では未婚でなければならない
- 旧姓パスポートで渡航 – 挙式には独身時の姓で参加
- 帰国後に手続き – 現地の婚姻証明書を持参して日本で手続き
窓口申請の流れと必要書類
窓口申請の具体的な流れと必要書類について詳しく説明します。準備不足で何度も足を運ばないよう、事前に確認しておきましょう。
申請の流れ
- STEP1:戸籍謄本の取得 – 婚姻届提出後、新しい戸籍謄本を入手
- STEP2:必要書類の準備 – 申請書、写真、古いパスポートなどを用意
- STEP3:窓口での申請 – パスポートセンターで申請手続き
- STEP4:新パスポート受領 – 指定日に再度窓口へ行き受領
必要書類一覧
- 戸籍謄本 – 発行から6カ月以内のもの
- 一般旅券発給申請書 – 申請方法に応じた様式を選択
- 顔写真1枚 – 縦45mm、横35mmのカラー写真
- 古いパスポート – 現在所持しているパスポート
- 住民票 – 他の都道府県で申請する場合など
申請は代理人に依頼することも可能ですが、受領は必ず本人が行う必要があります。



書類の準備で一番大切なのは戸籍謄本の取得タイミングです。新しい戸籍ができるまでの期間は地域によって差があるので、婚姻届を出す時に確認しておくと安心ですね。
オンライン申請のメリットと注意点
2025年3月24日からオンライン申請が全国で利用可能になりました。窓口申請よりも便利でお得な点が多数あります。
オンライン申請のメリット
- 手数料が安い – 窓口申請より1,000円お得
- 24時間申請可能 – いつでもスマートフォンから申請できる
- 戸籍謄本の提出不要 – マイナポータル連携で自動取得
- 写真撮影が簡単 – スマートフォンで撮影した写真を使用可能
- 窓口は受領時のみ – 申請のために窓口に行く必要がない
オンライン申請の注意点
便利なオンライン申請ですが、以下の点に注意が必要です。
- マイナポータル登録が必要 – 事前にアカウント作成が必須
- 補正対応が必要な場合 – 書類不備があると時間がかかる
- 旅行直前は避ける – 不備があった場合、間に合わない可能性
急ぎの場合は、その場で書類チェックしてもらえる窓口申請の方が安心でしょう。



オンライン申請は便利ですが、初回は少し戸惑うかもしれません。マイナポータルの登録や写真撮影のコツなど、事前に練習しておくとスムーズです。時間に余裕がある時にチャレンジしてみてくださいね。
国際結婚後のパスポート変更手続きまとめ


国際結婚後のパスポート変更手続きは、タイミングが最も重要です。適切な時期に手続きを行えば、スムーズに新婚旅行を楽しむことができます。
重要なポイントをもう一度整理しましょう。
- 新婚旅行まで2カ月未満 – 旧姓パスポートで旅行、帰国後に変更
- 新婚旅行まで2カ月以上 – 新姓パスポートを取得してから旅行
- オンライン申請がお得 – 手数料が安く、手続きも簡単
- 余裕を持った手続き – 旅行の1カ月前までには完了させる
私がサポートしてきた多くの国際結婚カップルも、正しい手続きを踏むことで素晴らしい新婚旅行を過ごされています。皆さんも適切な準備をして、人生最高の思い出を作ってください。
何か不明な点がございましたら、各都道府県のパスポートセンターや外務省のホームページで最新情報をご確認ください。素敵な国際結婚生活の第一歩として、パスポート手続きをしっかりと行いましょう。



国際結婚は手続きが多くて大変ですが、一つひとつクリアしていけば必ず素晴らしい結婚生活が待っています。パスポートの件も含めて、分からないことがあればお気軽にご相談くださいね。皆さんの幸せを心から応援しています。