【中国人の配偶者ビザ】取れない問題点を行政書士が解説
中国人の配偶者ビザが取れない原因は、ズバリ言うと「偽装結婚の疑い」です。国際結婚は届出制のため簡単に成立しますが、配偶者ビザは許可制のため厳しい審査があります。真剣な国際結婚でも、申請方法を間違えると不許可になってしまうのです。
私は行政書士の松村元です。これまで多くの国際結婚カップルの配偶者ビザ申請をサポートしてきました。特に中国人女性との国際結婚では、文化の違いや言語の壁もあり、ビザ申請で苦労されるカップルが非常に多いのが現状です。
今回は実際の申請現場で見てきた経験をもとに、中国人の配偶者ビザが取れない具体的な問題点を詳しく解説します。
「なぜ配偶者ビザが不許可になったのか分からない」「次回申請で成功させたい」そんな悩みを持つ方に向けて、行政書士として率直に問題点をお伝えします。
配偶者ビザが取れない根本的な理由


近年、国際結婚を装った偽装結婚が急増しています。入国管理局はこの問題に対応するため、配偶者ビザの審査を厳格化しました。
真剣な国際結婚であっても、審査官から見て「怪しい」と判断されれば不許可になります。つまり、真実の結婚であることを証明する責任は申請者側にあるのです。
配偶者ビザ審査で重視される判断基準は以下の通りです。
- 結婚の真実性 – 偽装結婚ではなく、本当に愛し合って結婚したか
- 継続性 – 夫婦関係が安定して長続きするか
- 経済的基盤 – 夫婦として生活を維持できる収入があるか
この3つの基準をクリアできない場合、配偶者ビザは確実に不許可になります。
中国人女性側の問題で配偶者ビザが取れないケース


中国人女性の現在の在留状況によって、配偶者ビザの取得難易度は大きく変わります。最も問題となりやすいケースを詳しく解説します。
留学ビザからの変更申請
留学生が退学すると3ヶ月で留学ビザが取り消されます。結婚を理由に退学した場合、配偶者ビザへの変更は極めて困難です。
審査では学校の成績表や出席率が重要な判断材料になります。出席率が8割未満の場合や成績不良の場合は、「真面目な留学生ではなかった」と判断され不許可になりやすいです。
留学中のアルバイトについても注意が必要です。資格外活動許可を取得していても、週28時間を超える労働は不法就労とみなされます。
卒業後であれば留学生としての責務を果たしたと評価されるため、配偶者ビザも取得しやすくなります。



実務経験上、不法就労が発覚した場合は今後の配偶者ビザ取得が極めて困難になります。留学中のアルバイトは週28時間以内を厳守してください。退学後の労働は完全に禁止されています。
短期滞在ビザからの変更申請
短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更は原則として認められていません。短期滞在は帰国前提のビザだからです。
中国人女性の場合、日本入国前にビザ取得が必須です。変更可能なのは90日の短期滞在ビザのみで、15日や30日のビザでは変更できません。
90日のビザであっても、国際婚約などの明確な根拠が必要です。配偶者ビザの審査には約3ヶ月かかるため、滞在期間内に結果が出ないことも多いです。
一般的には一度中国に帰国し、在留資格認定証明書を取得してから来日するのが確実な方法です。



短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更を認めざるを得ない明確な理由がある場合のみ、例外として認められることがあります。ただし、そのような特別な事情がない限りは帰国して正規の手続きを取ることをお勧めします。
交際期間が短すぎる問題
近年はインターネットでの出会いが増加していますが、数回しか会わずに結婚するケースでは配偶者ビザが取得しにくくなります。
厚生労働省の統計では、婚姻を立証する交際期間の目安は平均4年とされています。この交際期間は実際に会った日からカウントされ、ネットで知り合った日は含まれません。
交際期間が短い場合は、お互いの言語能力を証明する書類や、密なコミュニケーションを取っていた証拠を準備する必要があります。



知り合ってすぐに国際結婚を決めたカップルは、他の部分で真剣な交際を証明する必要があります。中国人配偶者が日本語能力検定に合格していると審査が有利になりますので、ぜひ取得をお勧めします。
年齢差が大きすぎる問題
入国管理局では年齢差についても厳しく審査しています。厚生労働省の統計では、夫婦の平均年齢差は1.6年です。
年配の日本人男性と若い中国人女性のカップルの場合、偽装結婚を疑われやすくなります。年齢差が大きい場合は、結婚に至った経緯を詳細に説明した理由書の作成が必要です。
交際関係を証明する写真やメール、電話履歴などの証拠資料も重要になります。



年配の日本人男性と若い中国人女性のカップルの場合、偽装結婚と疑われやすくなります。根拠のある詳細な理由書の作成が必要です。写真を悪用した偽装結婚で逮捕されたケースもありますので、自然な交際写真を準備してください。
離婚歴がある場合の問題
中国人女性に離婚歴がある場合、婚姻の継続性が疑問視されます。過去の結婚期間、離婚理由、子どもの有無、養育費の取り決めなど詳細な情報が求められます。
離婚歴を隠している場合や、離婚が法的に成立していない状態での結婚は完全に不利です。重婚の場合はビザは絶対に許可されません。
日本人男性側についても、過去に中国人女性との国際離婚歴がないかチェックされます。
日本人男性側の問題で配偶者ビザが取れないケース


日本人男性側の状況も配偶者ビザ審査に大きく影響します。経済面での問題が特に重要視されます。
家族への紹介不足
国際結婚であっても、双方の家族に相手を紹介するのは当然です。親に紹介していない場合や会っていない場合は、偽装結婚を疑われても仕方ありません。
コロナ禍などで直接挨拶できない場合は、その理由を証明する書類や親の承諾書が必要です。
収入が不安定
配偶者ビザでは夫婦として生活を維持できる経済力が求められます。扶養する側の十分な収入と世帯収入が重要な審査項目です。
審査基準額は地域によって異なりますが、「夫婦が自分たちの収入のみで生活できる」ことを証明する必要があります。
雇用形態の問題
日本人男性が派遣社員や契約社員、パート・アルバイトの場合、特に契約期間が1年未満の場合は審査に不利になります。
収入が安定しないと生活が不安定になり、婚姻関係が継続しないとみなされるからです。
自営業の場合は売上ではなく、経費を差し引いた純利益が収入として評価されます。節税のための過大な経費計上は、配偶者ビザ申請では不利になります。
駆け込み就職の危険性
収入が不安定だからといって、ビザ取得のために駆け込みで就職しても疑われる場合が多いです。取得目的の就職と判断され、追加書類の提出を求められることもあります。
試用期間を終えて納税証明書が発行される程度まで勤務して初めて信頼されます。
納税義務を果たしていない
納税義務がない場合は非課税証明書を提出しますが、これは「婚姻を継続する資金力がない」とみなされ、ビザ許可は困難です。
税金滞納、所得の過少申告、脱税があった場合は配偶者ビザは取得できません。
配偶者ビザ取得成功のための対策


配偶者ビザを確実に取得するための重要なポイントをまとめました。
- 十分な交際期間 – 最低でも1年以上、可能であれば2年以上の交際実績を作る
- 安定した収入 – 正社員として1年以上勤務し、適切に納税している
- 家族の承認 – 双方の家族に相手を紹介し、結婚の承諾を得ている
- 言語能力 – お互いにコミュニケーションが取れる語学力がある
- 交際の証拠 – 写真、メール履歴、通話記録などの客観的証拠を準備
中国人女性が日本語能力検定に合格している場合は、審査が有利になります。お互いの母国語以外でも、英語などの共通言語でコミュニケーションが取れることを証明できれば効果的です。
中国人の配偶者ビザ取れない問題点のまとめ


中国人の配偶者ビザが取れない最大の理由は、偽装結婚の疑いを晴らせないことです。
配偶者ビザの審査は年々厳しくなっていますが、正しい証明書類を準備すれば必ず取得できます。真実の結婚であることを客観的に証明することが最も重要です。
申請前に問題点を洗い出し、適切な対策を取ることで成功率は大幅に向上します。不安な場合は専門家に相談することをお勧めします。
国際結婚は素晴らしいものです。配偶者ビザという壁を乗り越えて、幸せな結婚生活を送っていただきたいと思います。