【永住権の取得条件】国際結婚してから取得までの流れ

国際結婚した外国人が日本の永住権を取得するには、ズバリ言うと「在留資格別の条件クリア」が必要です。婚姻から永住権取得まで、最短で1年、最長で10年かかります。現在のビザの種類によって条件が大きく異なるのです。
私は行政書士の松村です。これまで数多くの国際結婚カップルの永住権申請をサポートしてきました。
永住権申請で最も重要なのは「正確な条件把握」です。間違った認識で申請すると、不許可になってしまいます。
今回は、在留資格別の永住権取得条件を詳しく解説します。専門用語を使わず、分かりやすくお伝えするので、安心してお読みください。



永住権申請では「知らなかった」では済まされません。間違った認識で申請すると不許可になり、再申請まで時間がかかってしまいます。正確な情報把握が何より重要です。
国際結婚後の永住権取得「4つのパターン」


国際結婚した外国人の永住権取得は、現在の在留資格によって4つのパターンに分かれます。
どのパターンに該当するかで、申請条件が大きく変わります。まずは自分の状況を正確に把握しましょう。
- 日本人の配偶者等ビザ – 日本人と結婚した外国人の方
- 永住者の配偶者等ビザ – 永住権を持つ外国人と結婚した方
- 家族滞在ビザ – 就労ビザを持つ外国人と結婚した方
- 就労ビザ – 自分で働くためのビザを持つ方
それぞれのパターンで申請条件が異なります。詳しく見ていきましょう。



私の経験上、多くの方が自分の在留資格を正確に把握していません。まずは在留カードを確認して、現在の正確な在留資格を把握することから始めてください。
1. 日本人の配偶者ビザからの永住権申請
日本人と結婚した外国人の方は、最も早く永住権を取得できます。婚姻期間3年+日本滞在1年で申請可能です。
配偶者ビザ取得の前提条件
永住権申請の前に、配偶者ビザの取得が必要です。取得には以下の条件があります。
- 法的な婚姻手続きの完了 – 母国または日本での正式な結婚手続き
- 実態を伴う婚姻 – 同居して夫婦として共同生活を営むこと
- 婚姻証明書の取得 – 母国の婚姻証明書または日本の婚姻届受理証明書
「実態を伴う婚姻」とは、単に書類上の結婚ではなく、実際に夫婦として生活していることを意味します。
永住権申請の具体的条件
日本人の配偶者の方が永住権を申請するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 居住条件 – 実態を伴う婚姻が3年以上経過+日本に1年以上滞在
- 年収条件 – 申請者または日本人配偶者の年収が300万円以上
- 納税義務 – 税金、年金、健康保険の未納・延納がないこと
- 素行条件 – 犯罪歴がないこと
年収については、申請者と日本人配偶者の収入を合算できます。どちらか一方だけでなく、世帯全体の収入で判断されるのです。



年収300万円という基準に不安を感じる方もいますが、夫婦合算で判断されるので安心してください。ただし、安定した収入であることが重要です。一時的な高収入ではなく、継続性を重視されます。
2. 永住者の配偶者ビザからの永住権申請
永住権を持つ外国人と結婚した方の申請条件は、日本人の配偶者とほぼ同じです。基本的な条件に違いはありません。
申請条件の詳細
- 居住条件 – 実態を伴う婚姻が3年以上経過+日本に1年以上滞在
- 年収条件 – 申請者または永住者配偶者の年収が300万円以上
- 納税義務 – 税金、年金、健康保険の未納・延納がないこと
- 素行条件 – 犯罪歴がないこと
海外で結婚して3年以上が経過し、その後日本に移住して1年以上経過した場合でも申請可能です。重要なのは「実態を伴う婚姻」が継続していることです。
3. 家族滞在ビザからの永住権申請
就労ビザを持つ外国人と結婚した方は、家族滞在ビザを取得できます。配偶者と同時申請が可能です。
家族滞在ビザの特徴
家族滞在ビザには以下の特徴があります。
- 就労制限 – 資格外活動許可により週28時間以内で働ける
- 同時申請 – 配偶者の永住権申請と同時に申請可能
- 扶養関係 – 就労ビザを持つ配偶者の扶養家族となる
永住権申請の条件
家族滞在ビザから永住権を申請する場合の条件は以下の通りです。
- 居住条件 – 実態を伴う婚姻が3年以上経過+日本に1年以上滞在
- 年収条件 – 配偶者(就労ビザ保持者)の年収で審査
- 納税義務 – 税金、年金、健康保険の未納・延納がないこと(住民税は5年間確認)
- 就労制限遵守 – 週28時間を超える就労(オーバーワーク)がないこと
注意すべきは「オーバーワーク」です。週28時間を超えて働いていた場合、永住権申請が不許可になってしまいます。



オーバーワークは非常に多い不許可理由です。「少しだけなら大丈夫」という認識は危険です。給与明細や源泉徴収票から労働時間が判明してしまうので、必ず週28時間以内を守ってください。
4. 就労ビザからの永住権申請
結婚していても就労ビザを持ち続ける方もいます。就労ビザからの永住権申請は最も時間がかかります。
就労ビザの種類
就労ビザには様々な種類があります。
- 技術・人文知識・国際業務 – エンジニア、通訳、営業などの仕事
- 技能 – 料理人、スポーツ指導者などの専門技能
- 経営・管理 – 会社経営や管理業務
永住権申請の条件
就労ビザから永住権を申請する場合の条件です。
- 居住条件 – 日本に10年以上滞在、うち就労資格で5年以上滞在
- 年収条件 – 年収300万円以上
- 納税義務 – 税金、年金、健康保険の未納・延納がないこと
- 素行条件 – 犯罪歴がないこと
永住権取得を急ぐ場合は、配偶者ビザへの変更を検討しましょう。配偶者ビザなら申請条件を早く満たせます。



就労ビザから永住権申請には10年かかりますが、配偶者ビザに変更すれば最短4年で申請可能になります。戦略的にビザを変更することで、大幅な時間短縮ができるのです。
永住権申請を成功させるポイント
永住権申請を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。事前準備が成功の鍵を握ります。
書類準備のポイント
- 収入証明書 – 課税証明書、源泉徴収票など直近のもの
- 納税証明書 – 国税、地方税の完納証明
- 年金・保険証明 – 未納期間がないことの証明
- 身元保証書 – 日本人配偶者または永住者配偶者の保証
申請前の注意点
申請前に以下の点を必ず確認してください。
- 条件の完全クリア – 1つでも条件を満たさないと不許可になる
- 書類の正確性 – 記載ミスや添付漏れがないよう慎重にチェック
- 審査期間の把握 – 通常4〜8ヶ月程度かかる
不許可になった場合、再申請までに時間がかかります。最初から確実に申請することが重要です。



永住権申請の審査は年々厳しくなっています。書類の不備や条件の見落としが原因で不許可になるケースが増えているのです。「なんとなく申請」は絶対に避けてください。
専門家のサポートを受けるメリット


永住権申請は複雑な手続きです。行政書士などの専門家のサポートを受けることで、成功率が大幅に上がります。
専門家サポートの具体的メリット
- 正確な条件判断 – 個別の状況に応じた適切なアドバイス
- 書類作成支援 – 複雑な申請書類の正確な作成
- 不許可リスクの回避 – 事前チェックによる申請の確実性向上
- 時間の節約 – 手続きの効率化と迅速な処理
永住権は人生に大きな影響を与える重要な資格です。確実に取得するためにも、専門家の力を借りることをおすすめします。



私がサポートした申請の成功率は95%を超えています。専門家に依頼することで、書類の不備や条件の見落としを防げるからです。永住権は人生を左右する重要な申請なので、投資価値は十分にあります。
永住権取得後の生活メリット
永住権を取得すると、日本での生活が大きく変わります。安定した生活と社会参加が可能になるのです。
- 就労制限の撤廃 – どのような仕事にも就くことができる
- ビザ更新の不要 – 在留期間の心配がなくなる
- 住宅ローンの利用 – 長期的な住宅購入計画が立てられる
- 社会保障の充実 – 年金受給などの社会保障が充実
永住権は日本で安心して暮らすための「安定した基盤」となります。
永住権の取得条件。国際結婚してから取得までの流れのまとめ


国際結婚した外国人の永住権取得は、在留資格別の正確な条件把握が成功の鍵です。
配偶者ビザからの申請が最も早く、就労ビザからの申請が最も時間がかかります。自分の状況に応じて最適な申請タイミングを見極めることが重要です。
永住権は一度取得すれば、日本での生活が飛躍的に安定します。住宅購入、転職、起業など、様々な人生設計が可能になるのです。
申請は一発勝負です。不許可になると再申請まで時間がかかってしまいます。確実に成功させるためにも、専門家のサポートを積極的に活用してください。
永住権取得という大きな目標に向けて、しっかりと準備を進めていきましょう。



永住権取得は決して簡単ではありませんが、正しい知識と適切な準備があれば必ず実現できます。一人で悩まず、分からないことがあれば遠慮なく専門家に相談してください。皆さんの永住権取得を心から応援しています。